『初冬の島へ』
瀬戸内に住む人間としてなのか、カメラを趣味とする人間の性なのか、年に何度もそこへ訪れる。
にもかかわらず、悲しいくらいに島に親しむこともなく、ただシャッターを切っている。
コロナ禍一色の今年も終わろうとしているが、果たして何を撮ろうとしていたのか、見直してもよくわからない。
瀬戸の海風に冬が混じり始めている。その風に冷たくなったカメラもまた私には親しまない。
2021.1 コバヤカワ
『街景&人景』
写真を長く続けるにはテーマが必要らしい。しかし私には撮るテーマが無い。逆にテーマに縛られて写真が楽しく無くなる気もする。一昔前の写真家の様に社会性ドキュメンタリーを撮り続けた写真群で有れば話は別だが、テーマ、テーマと声高に仰る写真家もたかが蒐集写真に過ぎない例が多い。好きなモノを撮り続け、そのメッセージたるモノは長い時間が経過した後に明解に導き出してくれる。写真はどっぷりと時間に浸し濾過されて価値が生まれてくる。
2021.1 のぶなが
『Go To トラベル Ⅱ』
前回は熊野速玉大社で昼飯を食べたところで終わったはずです。此処の駐車場で弁当を食べ、休息を取った後熊野古道を目指した。勿論、熊野古道を走破する気力体力などない。熊野古道の「大門坂」近辺をぶらぶらして気分だけ堪能する。私は仏教徒なので苦行はしないことにしている。
次に目指すは那智の滝である。この滝自体が御神体である。私は那智の滝と対峙した。が、何も感じない。これはただの滝である。私は断言する。那智の滝にはすでに神霊は宿っていない。そこで那智の滝は早々に切り上げ那智大社を参拝することにした。しかしここの階段はきつい。それでも最後の気力を振り絞り朱色の鳥居をくぐる。実は私の真の目的は神社の隣にある青岸渡寺である。西国三十三ヶ所第一番札所である。ここで般若心経の真言を唱え今回の熊野三山巡り終了。
午後3時過ぎには勝浦駅に帰ってきました。17時10分発の南紀8号に乗るには2時間程時間がある。そこで港に向かい勝浦漁港のテラス席に座り暮れていく港を眺めながらコーヒーを飲む。しかし、あんな山ん中を歩き回るよりもこちらの方が私の性分に合っていると思う。仏教徒だから。
南紀8号を多気駅で降り参宮線普通電車に乗るためには18分の待ち時間がある。陽はとっぷりと暮れ駅の周りは真っ暗である。ホームには電車を待つ乗客が2~3人しかいない。それでも2両編成の電車がやってきた。そうだ行先を言ってなかった。伊勢に向かっている。
伊勢駅に着いたのは午後の8時を回っている。予約しておいたホテルは駅の反対側だがすぐそばです。フロントもそこそこに部屋に直行しシャワーを浴びる。しかしハードな一日だった。ソファーに横になりテレビをつけると神妙な顔をした二人がコロナの第三波だと言っているようだ。寝よう。
朝、目を覚ましカーテンを開けたらどんよりと靄がかかっている。否、小雨が降っているんだ。ホテルで朝食を済ませ伊勢市駅の正面から真直ぐ行ったところが外宮である。私は普段は外宮には行かない。思想信条の問題である。まぁそんなことはどうでもいいが。橋を渡りぶらぶら歩いていくと丁度紅葉の季節である。が案の定、札所を覗いたときに年増の女の従業員が、私に敵対的表情を送ってよこした。此処は大人の対応をしたが、国家神道を標榜する輩をいつまでも放置しておけない。それにしても神明造の鰹木や千木に金メッキを施すなど趣味が悪い。悪口はこのくらいにしてそろそろ昼飯の時間である。
昼飯は駅の傍のステーキハウスを予約しておいた。言っておくが私は昼間から松崎牛のステーキを食べるほどブルジョワではない。今回は連れが居たので妥協した。本来、私はアメリカンビーフで充分なんだが。昼飯を済まし駅の正面からバスに乗る。内宮に向かうのだ。私は伊勢参りは三回目である。恐らく私の人生の最後になるだろうと思う。伊勢神宮は天皇家の氏神でアマテラスオオミカミを祀っている。天皇家(制)というのは特異なもので、私は我が国の国体(国の形)として継承していくべきだと思っている。がアマテラスオオミカミだけが我が国の神だとは思っていない。我が国には八百万の神々が存在しますからね。私は仏教徒として神ではないが観自在菩薩(観音菩薩)を信仰している。
ところで此処は鳥居のなかは撮影禁止である。ところが帰ってきて画像を確認すると何かが映っていたりする。私の写真には時々あるんですよね。つまり、その瞬間私は意識を失っていたりするんですよね。
宇治橋を渡って俗界に返る。そこはおはらい町という門前町である。お土産屋や食べ物屋が並び賑わっている。昔は近くに遊郭もあった。昔は伊勢神宮にお参りした後遊郭で精進落としと言ってどんちゃん騒ぎをしたという。いやぁー日本人だね。私も赤福本店でお茶を所望しようとしたが行列ができているので諦めた。
2021.1 北斎やわら
『絶景』
新年おめでとうございます。本年もどうぞよろしく。
昨年秋、岩手県北端の金田一温泉を再訪することができました。ささやかではあっても旅に出るのは1年ぶりでした。ローライフレックスTとフジカラープロ160NSで撮るのも1年ぶりでした。
2021.1 阿部 敏之
去年一年間は世界はコロナとの戦いに明け暮れた。残念ながら決して勝利しているとは言えない。但し、光画館のみんなさんがご無事なのは何よりです。とことん生き残りましょう。生き残った者が勝ちです。