写真は、そこにいなければ写らない。それは確かなことなんだけど、写真を撮るためにそこに行き、たかだかカメラを構えてシャッターを押しただけなのに、撮ることやら撮った写真に理屈をくっつけたがる。それが、写真の見方、読み方をもっともらしくさせる。(『ズレたシャッターチャンス』丹野清志 )


『 病室 』

病室から眺める風景は、寒い季節でもありどこか寂しげである。

ベッドから降りてトイレと洗面所、歩くのは極々、狭い範囲である。

マスク美人の看護師さんが入れ替わり立ち替わり、意外と忙しい一日を過ごす。天井をじっと眺め、病室にいると昼夜問わずに睡魔に襲われる。

テレビはニュースだけ見て、単行本を読んでいる。

『戦前昭和の猟奇事件』改めて読んでみたが、何だか病室が独房にも思えてくる。

2023.3 のぶなが